東京都板橋区立緑小学校の4年生に、「自分の未来を考えよう」というテーマで10歳をお祝いする授業をしました。


あいさつは、大きな声でした者がその場を支配できるんだよ、という話から授業はスタート。

続いて、江戸時代の10歳は「つ はなれ」といって小さいながらも大人に認められる時期だったというお話、脳科学の世界では「ゴールデンエイジ(黄金の歳)」と呼ばれるいまの時期に、たくさん運動して、なんでも好奇心を持って、いろんなことを記憶してくださいとお話ししました。

と、ここで「人間はどのくらいの時間集中できると思う?」とクイズ。

「1時間くらい?」「1時間半かな?」子どもたちはあれこれ考えながら答えます。
「実際はね、9分間なんです」と正解を教えると、子どもたちは「!!!」。
驚きを隠せません。

驚きの余韻も冷めぬまま、「プロの選手がみなさんくらいのときにどんな集中力を持ってどんな未来を描いていたか見てみましょう」と、話はだんだんと佳境へ。

登場したのは元Jリーガー選手の本田圭佑さんと元大リーガーのイチローさん。2人が「将来の夢」をテーマに小学生の頃に書いた作文を読み上げます。自分と同じくらいの年齢のころに書かれたスーパースターの作文に、子どもたちは興味津々。

夢をしっかり持ち、なりたい自分に関して具体的なイメージを思い浮かべて、それを言葉にして文章にぶつける。こんな2人だからこそ世界のトッププレイヤーになれたんだね、という解説にみんなうなずいています。

さてもう一人、と言って紹介されたのは大谷翔平選手と、彼が目標達成のために作った目標達成シート(マンダラシート)。
「大谷翔平選手も夢を実現した一人です。その彼がやっていたことを今日はやってもらいます」。

配られたのは9つのマス目が書かれた一枚のシート。大谷選手が高校生の時にしたように、そのシートに将来の夢と、それを実現するためにはどんな行動を起こせばいいかを、一人ひとり書いてもらいました。

「いいねえ」「おもしろいねえ」「へえー、すごいねえ」と講評しながら、担任の先生と一緒に子どもたちの書くシートを見て回ります。

「よし!集中力だ。いいかい? ここから3分間、シートに書くことに集中して。鉛筆から煙が出るくらいの思いで、カツカツカツカツとそこになにか書いて。せーの、はい!」

カツカツカツカツ…
カツカツカツカツ…
カツカツカツカツ…

最後まであきらめずに、ラストスパートだという勢いと集中力でマスを埋める。その最後のあきらめない気持ちがテストのときなどにも大切。子どもたちに、あきらめない気持ちと集中力を忘れないで、との思いの3分間です。

さて、いよいよ発表です。発表のときにはルールが一つ。発表してくれた人には、その内容に関係なく、発表したということに対してみんなで拍手を送るというものです。

三田線の運転手、看護師、歌い手、外国で教師、イラストレーター、作家、プロゴルファー…子どもたちの夢がこれでもかと出てきます。

そして、それをかなえるための具体的な行動も。
速度の勉強をする、駅名を覚える、人にやさしくする、お手伝いができるようにする、すばやく動けるようにする、日記を書く、演劇部に入る、YouTuberになる、日本について理解する、外国の文化風習を勉強する、一日一枚絵を描く、上手な人の絵を見る、いろんな画材をためす、本をたくさん読む、自分はやればできると思う…。

もちろん、発表した人へは大きな拍手の約束も忘れません。

授業のしめくくりに、「だいじなことを覚えておいてね。それは絶対に自分にレッテルはりをしないこと。もし自分にレッテルをはるなら、ネガティブなことではなく、ポジティブなレッテルを」とアドバイス。

緑小で10歳をお祝い(以前は「2分の1成人式」という名前でした)するのは今回で4回目です。年明け1月に子どもたちへエールを送るこの授業をすると、新しい年が始まったなあと実感します。

今年も全国の子どもたちに会いに行きます。
待っててね。