3月7日、茨城県の潮来第二中学校172名の全校生徒に向けて、「人にも自分にも強くなる話し方のコツ」と題して「言葉の力」について講演をしました。潮来に来るのは今回で3回目。広い大地と広い空、水がきれいな素敵なところです。
この時期の中学校は、3 年生は受験も終わり合格発表を待っているところ。2年生は間もなく最高学年となり、1年前は制服に着られていたような1年生もかなり中学生らしく成長しています。それぞれが間もなく進む次のステージへ、自信を持って行くことができるように、エールを贈る気持ちも込めて。
廊下には生徒会の生徒さんたちが作ってくれた「ひきたよしあきコーナー」が。いろいろ予習してくれていたんですね。
会場は体育館。
生徒会の生徒の「開会の言葉」「講師の紹介」に続き、いよいよ講演です。
「挨拶は、大きな声でした者がその場を支配できるんだよ」と講演はスタート。「今日の講演のテーマは心を強くする言葉。自分の経験も交えて、みなさんにいくつかのコツを伝授します」と話は続きます。
今回の講演内容は、大きくわけて3つに構成されています。
1つめの話は「話すときの法則」です。
面と向かうと弱気になってしまう、何を話せばいいのかわからない、相手が不機嫌で怖くて話せないなど、話すことに苦手意識を持ってしまった心を克服できるテクニックを、実践を交えながらアドバイス。
生徒たちが体を動かして能動的に講演に参加することにより場が温まったところで、続いて2つめ「スピーチライターが伝授する人前での話し方」。長年スピーチライターをしてきた、ひきたよしあきだからこそできるお話です。
人前に出て話すときに心を強く保つ方法、声を遠くまで届ける技、名前をはっきりと伝える工夫、効果的な手の使い方などなど、実際に政治家や企業のエグゼクティブたちへ指南てきした技術を、惜しげもなく生徒たちに授けます。
子どもたちも聞き逃すまいと真剣です。
3つめは、地元・鹿島アントラーズで活躍した元Jリーガー内田篤人さんの少年時代の逸話をひも解きながら「最強の自信を手に入れる方法」を伝授。自分と同じ歳のころの親しみあるヒーローの話だからでしょうか、生徒たちはみんな集中してメモを取っています。
最後に餞(はなむけ)の言葉の代わりに、「人生を一本道ではなく地図だと考えてほしい」と、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの考えを紹介しました。
「大きなゴールに向かって歩む人生は、一本道ではなく地図です。生きていれば動けなくなること、しゃがみこんでしまうこと、つまづいてしまうこともある。そんなとき、人生を一本道だと考えていると、自分だけが止まっている、後退しているように感じ、他人と比較して自分をダメな人間だと思ってしまう。でも、人生は本当は地図だから、ゴールに向かってどうやって行くかを考えればいいんです。後戻りしようが、斜めに行こうが、川を渡ろうが山を越えようが、いくらでも道はある。逃げ道だってある。逃げるということは決して悪いことではない、いわば作戦変更のようなもの。そして自分の地図と周りの人の地図は全然違う地図だということも憶えておいてほしい。だから、他人と比べて勝ちも負けもない。あなたはあなたの地図の中でどうやってゴールに近づいていくかということを考えて、自由に動いて歩んでいけばいいんです」。
会の終わりの「質問コーナー」では、今日の講演内容に関するものから、叱られたときにヘコまない方法、本を書いてみようと思ったきっかけ、はたまた趣味など、たくさんの質問が寄せられ、盛況なうちに会は終了。
最後に、この日一日ひきたよしあきをアテンドしてくれたKくんと握手。みんなの拍手に送られて会場をあとにしました。
控室となっていた校長室で、校長の根本 政世士先生、この会を切り盛りしてくださった立原 嘉久先生と生徒会の皆さんと記念撮影。みんなニコニコです。
今回、立原先生とやり取りして、この会をコーディネートしてくださったのは、“一芸に秀でた社会人講師”を自治体や学校、企業と連携してコーディネートする一般社団法人きてきて先生プロジェクトさん(以下、きてきて先生)。ひきたよしあきも長年大変お世話になっています。
実は今回もう一つ、嬉しいことがありました。
昼過ぎ、高速バスで「水郷潮来」に着くと懐かしい顔が。潮来市子育て支援課課長の実川さんです。実は何年も前、潮来市での初めての講演を実現するために「きてきて先生」とともにご尽力いただいたのが実川さん。今回は4年ぶりの再会です。お仕事の都合で今回の講演を聞きに行けないので、せめてもと思いバス停まで会いに来てくださったとのこと。忙しいお仕事の合間にわざわざ来ていただいたその心遣いに、嬉しい気持ちが弾けます。実川さん、ありがとうございました!
コロナ禍の3年間、したくてもできなかった子どもたちへの対面での講演。
今年はたくさんできるといいな。